冬期特訓が終わってからの数学は、中1は中2の、中2は中3のテキストに突入した。
中学の数学はどの学年も計算単元からスタートする。中2は文字式、中3が式の展開である。
最近の授業で繰り返し言うことは「まずは指示通りの解き方でやりなさい」ということ。
大人としては「そんなことは言わなくても当たり前でしょう?」と思うかもしれないが、これがなかなかできない。
私は計算単元の場合、途中式と言われる部分を過不足なく書くようにしている。
丁寧過ぎないようかつ、残しておくべき途中式を漏らさずに必ず書き残す。
そこに、その計算で踏むべきステップ、その計算のポイントや、その計算でミスしない工夫がある。
私の板書を書き写すときはまだそのまま書いているのだが、いざ演習で自分で解き進めるときになると平気で自己流にする子はとても多い。
その自己流で最も多いのが、面倒くさいのか自信があるのかはわからないが「途中式を省く」というもの。
私が途中式を2つ書いている部分を、同時に処理して途中式1つで済ましてしまうようなことである。
断言するが、一般に「できる」と言われる子はこの「途中式を省く」ということをしない。
本人は意識しせず素直にやっているだけなのだろうが、まずそのままの方法を身に着ける。
指示通りのステップを踏んで、まず私のやっている方法を丁寧に確実に身に着けることに集中する。
その過程の中で、なんのためにこの途中式があるのかを説明だけでなく実感として理解し定着させる。
反対に、中途半端な結果になる子たちはこの「途中式を省く」を当たり前のようにする。
指示通りのステップを踏まず、途中式にこめられたポイントやミスをしない工夫を無視するのである。
中途半端な結果になるのも当たり前だ。計算問題だからと言って機械的にただ解くだけでは正答率は上がらない。
この計算問題は何を問うているのか、前の問題と何が違うのかを意識できないうちはミスはなくならない。
これは、塾生への発問で全て明らかになっている。
計算問題で塾生を当てたとき、私は解答を聞くのではなく「次の式は?」と繰り返し聞いて、解答までの途中式を全て答えてもらう。
結果を出す子たちは、まさにこちらの思う通りの途中式を全て答えてくれるが、そうでない子たちはやはり途中式が足りない。
どちらも答えは同じように合っているかもしれないが、これは後に必ず決定的な差となる。
「途中式を省くかどうか」というのは、その子があらゆる面で「指示通りにできるかできないか」を表している。
こちらの指示通りにできず、自分なりに勝手にやっているうちは、今以上には絶対に伸びない。
指示通りにできていない子は、まずは指示通りできるようになること。
「まずは」なんて言っているが、これを徹底するだけで結果は激変する。